肌のうるおいに欠かせない【細胞間脂質】の大切な働き
肌が乾燥すると、外部の刺激から肌を守るために必要な皮膚のバリア機能が低下し、さまざまな肌トラブルが引き起こされやすくなります。
このことから美しい肌を保つためには、肌を十分に保湿する必要があるといえるでしょう。
皮膚の組織のひとつ、細胞間脂質は肌にとって大切な働きをいくつも持っています。
ここでは、肌のうるおいに欠かせない細胞間脂質について詳しく見ていきます。
肌を乾燥から守る細胞間脂質の特徴と働き
皮膚は、表皮・真皮・皮下組織の三層から成り立っています。
細胞間脂質は、角質層・顆粒層・有棘層・基底層の四層から成り立つ表皮のなかの、外部と接触する角質層にあります。
角質層は全体の約90%が角質細胞、残りの約10%が細胞間脂質で構成されています。
角質層の構造をさらに詳しく見てみると、角質層は角質細胞がまるでレンガのように積み重なった構造になっており、レンガの隙間を細胞間脂質がセメントのように繋いでいます。
角質細胞の中にはNMF(天然保湿因子)があり、これが水分を抱え込むことで肌のうるおいを保つことができます。
●細胞間脂質の役割
細胞間脂質の約50%という割合を占めるのがセラミドで、残りはコレステロール・遊離脂肪酸などで構成されています。
細胞間脂質は、肌内部の水分蒸発を防ぐ大切な役割を持っており、水分を油分で挟み込むラメラ構造にて肌を乾燥から守っています。
ラメラ構造は、水分の保持以外にも、外部のさまざまな刺激から肌を守ったり、肌の柔軟さを維持したり、肌のハリや弾力を保つなどの働きがあるのです。
細胞間脂質を増やすためにはどんな方法がある?
●細胞間脂質ができる過程
細胞間脂質は、肌がターンオーバーを繰り返すプロセスで作られます。
ターンオーバーによって、皮膚の最も内部に位置する基底層で新しい細胞が生じると、古い細胞はどんどん上の層に押し上げられ、皮膚の最も表面に位置する角質層まで押し上げられるように。この際に、角質・NMF(天然保湿因子)・細胞間脂質が生じるのです。
このことから、細胞間脂質を増やすには、ターンオーバーのリズムを正常化することが大切なポイントとなります。
ターンオーバーのリズムが正常であれば、それだけ細胞間脂質の生成も円滑に行われるため、うるおいのある肌を維持しやすくなるのです。
●肌のターンオーバーを整えるには
一般的に、皮膚は約28日のサイクルでターンオーバーを繰り返しています。
しかし、加齢・不規則な生活・睡眠不足・ストレス・栄養のバランスが偏った食事などによって、ターンオーバーのリズムは乱れてしまいます。
ターンオーバーのリズムを整えるためにも、規則正しい生活を送りながら、質の良い睡眠をとることが大切です。
また、人間の身体は食事を通して栄養をとり入れることで、身体を構成する細胞を作り出しています。細胞間脂質を増やしたい場合には、栄養のバランスが良い食事を基本として、細胞間脂質の材料となる食べ物を積極的にとると良いでしょう。
細胞間脂質を増やすために口にしたい食べ物
細胞間脂質の約50%もの割合をセラミドが占めていることから、セラミド成分を含む食べ物を積極的にとることも重要です。
?十分な量のセラミドが含まれている「こんにゃく」
こんにゃく芋には植物性グルコシルセラミドが含まれているため、こんにゃくを食べることで、セラミドをとり入れることができます。
植物性グルコシルセラミドは生芋こんにゃくに多く含まれており、約100gをとることで1日に必要な量のセラミドを補うことができます。
?セラミドが含まれている身近な食材「小麦」
小麦はセラミドが含まれている食べ物ですが、こんにゃくと比較すると含まれているセラミドの量は少ないといえます。
しかし、小麦は身近な食べ物であるため食事に取り入れやすく、継続的にセラミドを補うことができます。
?セラミドを含みターンオーバーをサポートする「ほうれん草」
ほうれん草にはセラミドが含まれているだけではなく、肌のターンオーバーをサポートするビタミンAも含まれています。
細胞間脂質の生成をサポートするためには、肌のターンオーバーのリズムを整えながらセラミドを補うことが大切なので、ほうれん草はこのどちらもサポートしてくれる食べ物だといえるでしょう。
?セラミドとイソフラボンを含む「大豆」
大豆はセラミドが含まれているだけではなく、イソフラボンが含まれていることで注目されている食べ物です。イソフラボンは、美しい肌を維持するために欠かせない女性ホルモンのひとつエストロゲンと化学式やその働きが似ていることで知られています。大豆をとることで、セラミドとイソフラボンを同時に補うことができます。
肌のうるおいを維持したり、外部のさまざまな刺激から肌を守ってくれる細胞間脂質。
毎日のなかで、細胞間脂質の働きをサポートする対策をとるようにしてはいかがでしょうか。